永井産婦人科病院
【Q&A集】
産後のQ&A@

【Q301】母乳にはダイオキシンが含まれていると聞きましたが、母乳を赤ちゃんに飲ませても大丈夫でしょうか?
【A301】ダイオキシンは主に食べ物から体の中に吸収されます。一部は空気中や皮膚を通して吸収されます。ダイオキシンは脂肪に溶けやすい化学物質ですので、体の中では脂肪組織に溜まりやすく、授乳期のお母さんの母乳の脂肪分にも含まれています。このため母乳を通して、赤ちゃんの体の中にも微量のダイオキシンが吸収されます。
ダイオキシンは毒性の強い有害物質ですが、母乳の中に含まれるダイオキシンの量には個人差が大きいようです。このため赤ちゃんが母乳から摂取するダイオキシンの量にも差があります。現在のところダイオキシンが原因で赤ちゃんに異常が出たという報告はありません。
ダイオキシンの赤ちゃんの体に対する微妙な影響については、今のところまだ分からないことがあり全く心配がないわけではありません。しかし、母乳には赤ちゃんの免疫力を強くしたり、ミルクアレルギーの心配がない、腸への負担が少ない、お母さんとのスキンシップが保てるなど赤ちゃんの体に良い点が沢山あります。これらのことを総合的に考えると、母乳を与えるメリットの方が遙かに大きいと考えられます。
1987年のWHOのワーキンググループが「母乳中にはダイオキシン類およびPCB類が含まれているが、母乳栄養には乳幼児の健康と発育に関する利点を示す明確な根拠があることから、母乳栄養を奨励し推進すべきである。」と勧告しています。その後、1994年に、これらを再検討した結果、現在利用可能なデータからはこの勧告を変更する理由はなく、また、現時点では母乳栄養の制限や特別な食品への代替化の必要性はないとし、母乳栄養の推進を勧告しています。
日本でも、母乳中に含まれるダイオキシン類の濃度は年々減少しているというデータがありますので、生後3・4か月で無理やり断乳する必要性はありません。ぜひ健やかな赤ちゃんの発育のために母乳栄養を続けて下さい。

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