Q&A集/妊娠のQ&A/132
妊娠中のQ& A

【Q132】 葉酸を摂ると赤ちゃんの奇形が減ると聞きましたが、本当ですか?
【A132】 バランスのとれたビタミンの摂取は、私たちの健康に大きな役割を果たしています。その中でも最近注目を集めているのが、ビタミンB群の一種である“葉酸”です。
葉酸は1941年にほうれん草から分離抽出され、1946年に合成された水溶性のビタミンB群の一種です。体内で代謝されて、細胞の分裂や成長、核酸(DNA)の形成に不可欠な補酵素として働きます。
1965年イギリスで脊椎の形成不全で起こる二分脊椎症、脳瘤、無脳症などの神経管閉鎖障害児を産んだ母親には葉酸が低値であると報告され、神経管閉鎖障害の原因の1つに葉酸の欠乏があるらしいと言われ始めました。以後、二分脊椎症の頻度の高かったイギリスでは葉酸と神経管閉鎖障害との関係に関する研究が精力的に行われ、1991年に神経管閉鎖障害児を産んだ母親に葉酸を投与すると次の妊娠で神経管閉鎖障害の発症を70%予防できると発表しました。
一方、日本では神経管閉鎖障害児の出産頻度が欧米に比べて低かったことと、従来の日本食には葉酸が多く含まれていたことなどから葉酸の摂取はあまり注目されませんでした。しかし、最近の日本の統計から二分脊椎の発生頻度に増加傾向が見られることが分かりました。欧米の発生頻度が急激に改善されたのに比べて日本の値は欧米を上回る発生率を示すようになりました。そこで、2000年に厚生労働省は「葉酸は大変重要な栄養素の一つですから、妊娠予定のある女性は、妊娠の1か月位前から食事に加えて、栄養補助食品として1日400マイクログラム(=0.4mg)の葉酸を摂取するよう心がけてください」という勧告を出しました。
また、葉酸の欠乏は、悪性貧血や抵抗力の低下、早産・低出生体重児・胎児発育遅延・常位胎盤早期剥離・子癇前症などの妊娠中の合併症の予防にも関係していると言われています。
以上のことから葉酸は、神経管閉鎖障害、口唇・口蓋裂、心臓血管障害、先天性尿路系疾患、四肢の異常などの先天奇形発症リスクを低減する効果があり、これから妊娠を考えている女性や現在妊娠している女性にとって欠かすことのできないビタミンです。なお、葉酸はビタミンB
6、B12、Cがなくては働かないので、これらのビタミンも一緒に摂るように心がけてください。